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不動産売却で迷ったら?専任・一般・専属専任の選び方と契約前チェックリスト

不動産を売るときは、まず「どの不動産会社に頼むか」を決めますよね。

でも、実は不動産会社にお願いするだけでは販売活動は始まりません。

売主と不動産会社のあいだで「不動産の販売を委任する契約」を結ぶ必要があります。

これを 「媒介契約(ばいかいけいやく)」 といいます。

ここでは、そんな媒介契約の基本と、3種類の違いをわかりやすくご紹介しつつ、どんな人にはどの契約がお勧めかを明示します。

🏠不動産売却の「媒介契約」とは?

そもそも媒介契約とは?(不動産会社への正式な依頼)

媒介契約とは、売主が「この不動産を売るお手伝いをお願いします」と不動産会社に正式に依頼するための契約です。

この契約を結ぶことで、初めて不動産会社は広告を出したり、購入希望者へ紹介したりといった販売活動をスタートできます。

媒介契約を結ばないと販売活動は始まらない理由

査定までは無料でできても、「販売」は別です。

広告を出すには、売主の許可と法的な根拠(=媒介契約)が必要になります。

また、媒介契約書には「所有者」「物件を特定する所在地情報」「契約期間」「手数料」などが明記されており、お互いのトラブルを防ぐ大切な役割もあります。

そして不動産会社は法律で媒介契約書を交付する義務があるのです。

3種類の媒介契約(一般・専任・専属専任)の違いを理解しよう

媒介契約には次の3つの種類があります👇

種類複数の会社に依頼できる?自分で買主を見つけられる?レインズ登録義務不動産会社の報告義務
一般媒介契約〇 できる〇 できる義務なし義務なし
専任媒介契約✕ 1社のみ〇 できるあり2週間に1回
専属専任媒介契約✕ 1社のみ✕ 不可あり1週間に1回

それぞれにメリット・デメリットがあり、「複数社に頼みたい」「担当者と密に進めたい」など希望に合わせて選ぶことが大切です。

① 媒介契約の種類(一般、専任、専属専任)を比較

媒介契約には「一般」「専任」「専属専任」の3種類があります。

どれを選ぶかで、不動産会社の動き方も、売主さんの自由度も変わってきます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

一般媒介契約の特徴(複数社に依頼できる・自由度が高い)

一般媒介契約は、いくつかの不動産会社に同時に依頼できる契約です。たとえば「A社とB社、両方にお願いして、早く買い手を見つけたい」ということもOKです。

また、自分で買主を見つけて直接契約することも可能です。(例えば親戚が買いたいと言い出したので自分たちだけで完結する)

契約期間は何カ月でも可能なので不動産会社としては1年とか長く締結したいと思うかもしれません。3~6か月にしておくのが一般的です。

② 専任媒介契約の特徴(1社に絞るが自分で買主を見つけられる)

専任媒介契約は、1社だけに販売を任せる契約です。

その代わり、不動産会社は売却活動の進捗を2週間に1回以上、書面やメール等で報告する義務があります。

また、売主自身で買主を見つけて自分たちだけで直接契約することも出来ます。(その場合は広告費等の実費精算あり)

1社に絞る分、担当者も本気で動いてくれやすく、「早く売りたい」「信頼できる担当者が見つかった」という方におすすめです。

契約期間は最大3カ月です。

なので不動産会社が出す査定額というのは「3カ月で売れるための金額」であることが多いです。不動産会社としては3カ月で売れるように努力する訳ですね。

逆に相場よりも高値での売り出しは、売れずに時間だけが過ぎてしまいます。段階的に値下げしていかないと契約期間の3カ月が過ぎても売れ残ってしまいます。

③ 専属専任媒介契約の特徴(最も手厚いが制約が多い)

専属専任媒介契約も、その1社だけにすべてを任せる契約です。

売主が自分で買主を見つけても、必ず不動産会社を通す必要があります。(違反すると違約金になる)

その代わり、報告は週1回と最も頻繁に行われ、販売活動も集中的に行われやすいのが特徴です。

スピーディーに売りたい、細かく状況を知りたいという方には合っていますが、自由度は低くなるため注意が必要です。

こちらも契約期間は最大3カ月です。その後の再契約も可能です。

結局どれがいい?不動産売却の媒介契約の選び方

不動産会社は売買契約が成立しない限り、仲介手数料を受け取ることができません

そのため、複数社に依頼する「一般媒介」では、自社で契約をまとめられる確率が下がり、「他社に先を越されるかもしれない」というリスクを感じます。

結果として、広告出稿や営業活動の優先順位が下がってしまうことも少なくありません。

一方で、価格が高額な物件や、立地の良い人気エリアの不動産であれば、複数の業者が積極的に買主を探してくれるため「一般媒介」がお勧めです。

しかし、相場より安価な物件や、需要が限定されるエリアの不動産では、不動産会社として広告費や案内対応などのコストをかけにくくなります。特に1,000万円以下の低価格帯の物件では、一般媒介だと販売に力を入れてもらいにくい傾向があります。

したがって、売れにくい条件の物件ほど、1社に絞って「専任媒介」または「専属専任媒介」とし、責任をもって販売を任せた方が、結果的に早期成約につながりやすいと言えるでしょう。

3つの媒介契約の比較表

契約の種類向いている人
一般媒介高額な物件を持っている人
専任媒介普通に売りたい人
専属専任媒介こまめに報告をもらいたい人、早期売却を希望する人

不動産売却の媒介契約までの流れと持参物

媒介契約までの流れや必要な書類等を整理しますね。

流れ

①不動産会社に問い合わせ、査定をしてもらう
②媒介契約を締結する
③販売活動スタート

流れはこのようになります。

①不動産会社への問い合わせ

問い合わせメール/電話/不動産売却一括査定サイトからの申込でもいいし、不動産会社に物件の査定をしてもらいましょう。

売却が前提でしたら最初から現地調査を含む査定を行うことをお勧めします。営業マンが来て物件の周辺環境、物件そのものを調べます。

後日査定額の提示や販売の流れ等の説明があります。問題なければ②に進みます。

②媒介契約の締結

ご自宅か事務所にて媒介契約書に記名をして契約締結です。

不動産会社の方で土地・建物の登記簿謄本を取得します。所有者と依頼者が同一かの本人確認があります。物件が他の人との共有の場合は、共有者の同意が必要ですし。

③販売活動スタート

物件の写真を撮影するなど、広告を開始します。

持参物

  • マイナカードや運転免許証 *必須
  • スマホ(連絡先用)
  • 認印(契約書への押印用)
  • 課税証明書、納税通知書等(不動産の評価額がわかるもの、今年の固定資産税がわかるもの)
  • 登記識別情報(権利証)

契約の日にこういった物を持っていくことをお勧めします。本人確認書類があればまずは大丈夫ですが、いずれおいおい必要になりますので最初から用意してもよいですね。

媒介契約を結ぶ前に確認しておきたいポイント

媒介契約は、いわば「売主と不動産会社のルールブック」。

どんなに信頼できる担当者でも、契約内容をよく理解しておかないとあとから「そんなはずじゃなかった…」ということにもなりかねません。

ここでは、契約前にチェックしておきたい主要なポイントを整理します。

📝査定価格の根拠をチェック

査定額の理由(近隣の成約事例、路線価、土地評価など)を説明できるか確認しましょう。

「高い価格」を提示してくるだけで根拠がない場合、媒介契約を取るための“見せかけ査定”の可能性もあります。

👉 根拠をもとに説明してくれる会社ほど信頼性が高いです。

不動産会社の免許番号・所属団体もチェック

宅地建物取引業の免許番号(都道府県知事 or 国土交通大臣)を確認しましょう。

また所属団体(全日本不動産協会・宅建協会など)に入っていればそれも確認できます。

ちなみに弊社ミューファは
宅建業:千葉県知事(2)第17392号
(公社)全日本不動産協会会員 (公社)不動産保証協会会員

です。

千葉県知事の後に(2)とあるのは、5年おきの更新1回目の意味です。したがって5年以上~10年未満の運営なのだなとわかります。

👉 信頼性・実績を確認することで、安心して媒介契約を結べます。

📝契約期間と更新のルールをチェック

媒介契約には有効期間があります。法律で最長期間が決められており、以下のようになっています。

契約の種類有効期間更新
一般媒介契約制限なし期間満了後に再契約可能
専任媒介契約3か月以内更新可能(再契約)
専属専任媒介契約3か月以内更新可能(再契約)

専任・専属専任契約は3か月を超えてはいけません。これは、売主が不利益を被らないようにするための法律のルールです。

もし3か月経っても売れなかった場合は、「継続して任せたい」か「他社にも相談したい」かを自由に選べます

3か月目が近くなってくると不動産会社から更新(再契約)の案内が来るはずです。もう1度その不動産屋に任せるか否かを判断しましょう。

もしこの不動産屋の対応嫌だな、広告力が低いんじゃないかな、と思うような場合は3カ月目でいったん契約を終了させて、ほかの不動産屋に相談するのもアリです

📝仲介手数料の上限と支払いタイミングをチェック

不動産会社に支払う仲介手数料(成功報酬)は、国で上限が決められています。この金額以上に仲介手数料を請求された場合は支払わなくてOKです。

仲介手数料は媒介契約の種類によって変わりません。そして売買代金によって異なってきます。計算式は次のとおりです。

売買価格 × 3% + 6万円 + 消費税

たとえば、2,000万円の不動産を売った場合: 2,000万円 × 3% + 6万円 = 66万円 + 消費税

支払いのタイミングは不動産屋によって異なりますが、「契約時に半金」+「決済時に半金」のパターンか、「決済時に全額」のパターンになります。

800万円以下不動産の場合:

令和6年7月1日以降は一律33万円(税込)が上限となりました。(参照:国土交通省のサイト

📝広告掲載・販売方法もチェック

媒介契約の際は、どんな広告を出すのかも確認しておきましょう。

✅SUUMO、アットホーム、LIFULL HOME’Sなどへの掲載
✅チラシや現地看板の設置
✅SNSや動画による紹介、etc..

今どきは無いと思いますが、もしWEB広告(athome, suumo, HOMES等)掲載をしない不動産屋があった場合は、依頼をやめた方が良いと思います。

あとは売主によっては「近所に知られたくない」などの希望もあるかと思います。広告範囲や表記方法を、契約前に担当者とすり合わせておくと安心です。一般向けの広告を出さずに不動産屋だけがアクセスできる国のデータベース(レインズ)にのみ登録してもらうことも可能です。

📝ホームインスペクションをやるかどうかチェック

媒介契約時に不動産会社から「ホームインスペクション(建物状況調査)」の案内があるはずです。近年法律によって説明が様式化されたからです。別に不動産会社がインスペクションをあっせんして手数料を貰いたいという訳ではありません。

売主負担(約10~15万円)で建物の調査を行い、買主に開示することで、取引の安全を保とうとする全国的な動きです。とはいえ9割の売主さんはインスペクションをやらない傾向があります。

このインスペクションをやるかやらないかを媒介契約書に記入する欄があります。

媒介契約を解除したいとき

もし「他の会社に頼みたい」「担当者と合わない」と感じた場合、媒介契約はいつでも解除できます

違約金などは不要ですが、その時点で広告費などが発生していれば、実費を請求されることがあります。解除の際は、担当者に理由を伝え、書面で手続きを行うのが確実です。

(専属)専任媒介契約を締結してた場合は、解除すれば改めて別の不動産会社に仲介を依頼することが可能になります。わざわざ解除しなくても3カ月経てば自動的に契約が切れると思えば、それまで待ってもいいと思います。

以上です。

弊社は不動産会社であり司法書士と行政書士が在籍していますので、ワンストップなサービス提供に自信があります。もしご興味がおありでしたら、野田市の不動産売却ならをご覧ください。

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