不動産を売却する前に「うちの土地、どこまでが自分のものか実はよく分からない…」という状態になっていませんか?
実は、土地の“境界”があいまいなままでは、スムーズな売却は難しいことがあります。
このコラムでは、
✅ 境界確定とは何か?
✅ なぜ売却前に必要なのか?
✅ 筆界確認や確定測量の流れとは?
など、境界確定の基本と注意点を分かりやすく解説します。
不動産の「境界」とは?
土地の境界には、大きく分けて次の2種類があります。
| 用語 | 説明 |
| 筆界(ひっかい) | 法務局が管理する登記上の境界線 |
| 所有権界(しょゆうけんかい) | 実際に所有者が使っている境目。 現地の塀・フェンスなど |
境界が確定していない土地の「よくあるケース」
実際には境界があいまいなままになっているケースだけでなく、境界が明確になっていると思っていても、隣地の所有者が変わったり、杭が飛んだりしてるケースがありますので、これから土地の売買を検討している方は是非チェックしてみてください。
ここでは、売却前に確認しておきたい“よくあるケース”をご紹介します。
古い測量図しか残っていないケース
昭和時代や平成初期に作成された古い測量図しかない場合、現在の測量精度とは大きく異なることがあります。
昔の図面は簡易的な測量によるものも多く、隣地との境界点が現地で確認できないケースもあります。土地の売買時には買主から「改めて確定測量をしてほしい」と求められることが多いです。
ブロック塀やフェンスを境界だと思い込んでいるケース
「このブロック塀が境界です」と思っていても、実はその塀が本来の筆界と一致していないケースがあります。
塀はあくまで所有者同士の話し合いで設置されていることもあり、登記上の境界とは別である場合もあります。売却時に測量を行った結果、数センチ〜数十センチのズレが発覚することがあるのです。
相続後、一度も測量していない土地
相続で取得した土地の場合、前の所有者が境界を明確にしていなかったというケースは非常に多いです。
特に地方や古くからの住宅地では、境界標が失われていたり、資料が不足していたりすることもあります。売却の段階になって測量を行うのでも大丈夫ですので、測量しなきゃいけない、というのは認識しておくとよいです。
このように、境界があいまいな状態は決して珍しいことではありません。
だからこそ、売却を検討し始めた段階で一度現状を確認し、必要であれば確定測量や筆界確認を進めておくことが、スムーズな取引につながります。
境界があいまいなままだと起こるトラブル
✅ 売却が進まない(買主が不安を感じる)
✅ 隣地の所有者とのトラブルに発展
✅ 金融機関のローン審査が通らない
✅ 測量や登記の費用をあとから請求される可能性も
こうしたリスクを避けるため、「確定測量」や「筆界確認」が必要になるのです。
境界を明確にする方法

① 確定測量とは?
土地家屋調査士が現地で測量を行い、隣地の所有者と立会いのうえ、境界を明確にする手続き。測量図は法務局にも登記され、将来的な売却・相続時にも安心材料になります。
② 筆界確認とは?
隣地との筆界を法的に確認し、書面に残す手続き。必要に応じて、法務局や専門家の関与のもと進められます。
境界確定の流れ
事前調査(登記簿や資料の確認)
土地家屋調査士による現地測量
隣地所有者との立会い・境界確認
確認書への署名・押印
測量図の作成・登記(必要に応じて)
📌 境界確定には、数週間〜数ヶ月かかる場合も。売却予定があるなら早めの準備が大切です。
境界確定にかかる費用と期間の目安
境界確定を検討する際、多くの方が気になるのが「費用はいくらかかるのか」「どのくらい時間がかかるのか」という点です。
土地の広さや隣地の数、資料の有無によって大きく変わりますが、ここでは一般的な目安をご紹介します。
確定測量の費用相場
一般的な住宅地(30~50坪程度)の場合、確定測量の費用は約30万円~80万円程度がひとつの目安です。
ただし、以下のような場合は費用が上がる傾向があります。
- 土地が広い
- 隣地の数が多い
- 道路が公道で、役所との立会いが必要
- 境界標が見つからない
特に角地や変形地は作業が複雑になるため、事前に見積もりを確認することが重要です。
期間の目安はどれくらい?
境界確定にかかる期間は、おおよそ1ヶ月~3ヶ月程度が一般的です。
ただし、隣地所有者との日程調整が難しい場合や、役所の立会いが必要な場合は、それ以上かかることもあります。
売却活動を始めてから測量を依頼すると、契約や引き渡しのスケジュールに影響する可能性があるため、売却を検討し始めた段階で準備を進めるのが理想です。
費用をかけるべきか迷ったときの考え方
「数十万円かかるなら、そのまま売れないだろうか」と悩まれる方もいらっしゃいます。(買主さんとの交渉では契約上可能です)
しかし、境界が確定していない土地は、
- 買主が限定される
- 価格交渉で不利になる
- 契約直前で話が止まる可能性がある
といったリスクがあります。
結果的に売却価格が下がることで、測量費用以上の差が出るケースもあります。長期的な視点で判断することが大切ですね。
隣地所有者が立ち会ってくれない場合はどうする?
境界確定を進めるうえで、もっとも不安に感じるのが「隣地の所有者が協力してくれなかったらどうなるのか?」という点ではないでしょうか。
実際、連絡が取れない・高齢で対応が難しい・関係性が良くないなど、スムーズに進まないケースもあります。ここでは、そのような場合の対応方法について解説します。
立会いを拒否された場合の対応
まず前提として、隣地所有者には境界確認に応じる法的義務はありません。そのため、強制的に立会いを求めることはできません。
ただし、測量の趣旨や将来的なトラブル防止の目的を丁寧に説明することで、理解を得られるケースも多くあります。基本的には専門家が行いますので、感情的な対立は起こりにくいと思います。
連絡が取れない・所在が不明な場合
相続未登記のままになっている土地や、所有者が遠方に住んでいる場合、連絡自体が難しいことがあります。
その場合は、登記情報をもとに相続人を調査したり、書面で通知を送付したりするなど、段階的な対応を行います。時間はかかりますが、手続きを積み重ねることで進められる場合もあります。
筆界特定制度という選択肢
どうしても合意が得られない場合は、「筆界特定制度」を利用する方法もあります。
これは、法務局が資料や測量結果をもとに筆界の位置を判断する制度です。裁判よりも比較的簡易な手続きで進められますが、一定の期間と費用が必要になります。
裁判になるケースはある?
境界について深刻な対立がある場合には、最終的に裁判で解決することもあります。
しかし、裁判は時間も費用もかかるため、売却前にそこまで進むケースは多くありません。多くの場合は、話し合いや第三者の関与によって解決を目指します。
境界確定をしておくメリット
境界確定は不動産売却の前段階で、費用がかかるため、「本当にそこまで必要なのか?」と迷われる方も少なくありません。
しかし、売却前に境界を明確にしておくと売却がスムーズになります
売却価格への好影響
境界が確定している土地は、買主にとって安心材料になります。確定してない場合は1区画の土地で-100万円ぐらいの値引き交渉はありえますし、
例えば分譲会社やハウスメーカーが土地を購入する場合は基本的には境界を明示してくださいね、と言われてしまうのです。
買主の安心材料になる
特に住宅ローンを利用する買主の場合、金融機関は境界の明確性を重視します。
境界確認書や確定測量図があることで、審査がスムーズに進みやすくなります。売主としても、契約直前で話が止まるリスクを減らせます。
「測量済み」というだけで、物件の印象は大きく変わります。
相続時のトラブル予防になる
境界確定は、売却時だけでなく将来的な相続対策としても有効です。
相続後に境界問題が発覚すると、相続人同士の負担が大きくなります。事前に整理しておくことで、次の世代へのトラブルを防ぐことができます。
「売らない場合でも、測量をしておいてよかった」という結果につながるでしょう。
分筆・建て替え・活用がスムーズになる
土地を分筆して一部だけ売却する場合や、将来建て替えを検討する場合も、境界確定は重要です。
境界が明確でないと、分筆登記や建築確認の手続きが進まないことがあります。
つまり、境界確定は「今の売却」だけでなく「将来の活用」まで見据えた準備ともいえます。
境界を明確にしておくことは、単なる手続きではなく、土地の価値を守るための大切なステップです。
売却を検討し始めた段階で一度状況を確認しておくことで、後悔のない取引につながります。
境界確定は「義務」ではないが、ほぼ必須!

境界確定は法律上の義務ではありませんが、以下の場合はほぼ必須です。
・土地の一部を分筆して売却したい
・隣地との間にトラブルや不明点がある
・ローンを使う買主に売却する予定がある
・数十年前の測量で図面が古い、買主が求めている
染谷綜合法務グループ × ミューファでは、
測量・登記・売却をすべてまとめてサポートできます。
まとめ|“今ある土地”をトラブルなく売るために
✔ 境界があいまいなままでは売却が進まないことがある
✔ 確定測量や筆界確認で、法的に明確な状態にしておくのが安心
✔ 専門家に任せることで、トラブル防止・スムーズな売却が可能!
