今日の話は、私は税理士ではありませんので具体的な部分は専門家にご確認いただきたいと思いますが、今日お伝えしたいのは計算の話ではなく、もっと将来の話です。
不動産を売るときにかかる「譲渡所得税」とは
家や土地を売却したとき、売却代金がそのまま手元に残るわけではありません。なぜなら、不動産を売ることで得た利益には「譲渡所得税」という税金がかかるからです。
譲渡所得税の計算式は、基本的に次のようになります。
売却価格 - 取得費 - 譲渡にかかった経費 = 譲渡所得(A)
譲渡所得税額=(A) × 税率
となります。
たとえば、1,000万円で土地を売った場合を考えてみましょう。
その土地をもともと500万円で購入していて、確定測量や家屋の解体などに300万円かかったとします。
この場合、売却益(譲渡所得)は 1,000万円-500万円-300万円=200万円。
保有期間が10年を超えていれば、税率は約20%(所得税15%+住民税5%)なので、200万円×20%=約40万円が譲渡所得税として課税されます。
つまり、不動産売却の税金で本当に重要なのは「取得費と経費をどれだけ正しく計上できるか」なのです。
特に注意したいのが、相続や贈与で引き継いだ不動産です。
代々受け継いできた土地の場合、最初に購入したときの契約書や領収書が残っていないケースが多く、結果として「取得費がわからないまま」税金を計算してしまう人が少なくありません。
そうなると、せっかく先祖代々守ってきた土地を売っても、思いのほか多くの税金を支払うことになってしまうのです。
取得費とは?税金計算に重要な“もう一つの数字”
不動産の譲渡所得税を計算するとき、売却価格と並んでとても重要になるのが「取得費」です。
この取得費をどのように把握しているかによって、最終的な税金額は大きく変わります。
取得費にはどんなものが含まれる?
取得費とは、もともとその土地や建物を「買うためにかかったお金」のことです。
代表的なものは次のとおりです。
| 項目 | 内容例 |
|---|---|
| 購入代金 | 当時の土地・建物の売買価格 |
| 仲介手数料 | 不動産会社に支払った仲介報酬 |
| 登記費用 | 所有権移転登記などに要した司法書士報酬・登録免許税 |
| 印紙税 | 売買契約書に貼った印紙代 |
| 測量・境界確定費 | 購入時に測量を行った場合の費用(慣習では売主が行うケースが多い) |
| 建物取得費 | 建築請負契約で支払った建物代金、設計費など |
また、建物の場合は年数が経つと価値が下がるため、減価償却という考え方で取得費を調整します。たとえば、木造住宅ならおおむね22年で価値がゼロに近づくため、築40年を超える建物は「建物の取得費=ほぼ0円」とみなされることが多いです。
つまり、土地の購入費用や諸経費がしっかり記録されていればいるほど、課税対象となる「譲渡所得」を少なくでき、税金を抑えることができます。
「契約書や領収書がない」と大きな損になる
しかし、昔から引き継いできた土地では、
・購入当時の売買契約書
・領収書
・登記費用の記録
などが見つからないことが少なくありません。
この場合、「概算取得費」として、売却価格の5%を取得費とみなすことが一般的です。たとえば1,000万円で土地を売った場合、取得費は50万円しか認められません。
本来、当時500万円で買っていた土地なら「売却益=1,000万-500万=500万円」ですが、取得費がわからないと「1,000万-50万=950万円」が利益と見なされ、税金が何倍にも膨れ上がってしまうのです。
相続した不動産で「取得費がわからない」とどうなる?
相続や贈与で引き継いだ不動産では、「そもそもいつ、いくらで買った土地なのか」が不明なケースが非常に多いです。
昔の売買契約書や領収書が見当たらず、当時の取引を知る人もいない──そんな状況で売却すると、思わぬ税金負担が生じます。
取得費が不明だと「概算取得費(5%)」で計算される
取得費を証明できる資料がない場合、税務署では「概算取得費」として、売却額の5%を取得費とみなすというルールがあります。
たとえば、さっきの例でいうと購入価格500万円がなくなりますので、次の金額を使って計算します。
売却価格:1,000万円
経費(測量・解体費):300万円
取得費:5%=50万円
この場合、譲渡所得は、1,000万円-50万円-300万円=650万円。
もし保有期間が10年を超える土地であれば、税率は約20%(所得税+住民税)なので、650万円×20%=130万円が譲渡所得税として課税されます。
実際の購入価格が500万円だったとすれば、本来の課税額(40万円)よりも約3倍以上税金を払うことになるのです。
相続土地ほど「取得費喪失リスク」が高い
この問題は、代々の土地ほど起こりやすくなります。
特に昭和時代に購入された土地や、登記簿上の名義変更を繰り返した土地では、最初に購入した際の契約書・領収書が失われていることが珍しくありません。
さらに、相続登記の義務化(2024年4月施行)により、今後は「亡くなった人名義のまま」では売却できなくなっています。
そのため、名義変更のタイミングで取得費の情報を引き継ぐことが、税金面でも非常に重要なポイントになります。
「祖父の代の土地」こそ、家族で書類を共有しておく
不動産の資料は、いざ相続が発生したあとでは探し出すのが難しいものです。
もしご家族に、土地を所有しているお父さん・お母さん・おじいさんがいるなら、ぜひ今のうちに、当時の売買契約書や領収書を探してファイルしておくよう伝えてください。
「バインダーにまとめておいて、将来売るときは税理士に見せる」
たったそれだけで、何十万円、場合によっては百万円単位で税金を減らせる可能性があります。
お父さん、お願いだから領収書を保管しておいてください🙏、という訳ですね。
譲渡所得税を抑えるためにできること
「取得費がわからないから税金が高くなる」
これは決して他人事ではありません。しかし、事前の準備や確認によって、譲渡所得税を抑える方法はいくつかあります。ここでは、実際にできるポイントを紹介します。
① 取得費を証明できる書類を探す
取得費を証明するためには、以下のような資料からたどれる場合があります。
| 書類の種類 | 内容・入手先 |
|---|---|
| 売買契約書 | 当時の購入金額が記載された契約書(不動産会社・司法書士) |
| 領収書 | 売主や不動産会社への支払いを示す領収書 |
| 登記済権利証(または登記識別情報) | 当時の所有権移転登記に関する情報 |
| 登記簿謄本 | 法務局で取得可能。過去の所有者や登記時期を確認できる |
| 土地・建物の評価証明書 | 市役所で発行。古いものが残っていれば購入時期の目安になる |
| 当時の測量図・建築図面 | 測量士・建築会社・役所などに残っている場合あり |
過去の業者に連絡すれば、当時の請求書・領収書が残ってる場合がありますし、
推計の取得費を算出できれば、税務署に対して「5%より高い取得費」を主張できるケースもあります。ただしこれは税理士の専門判断が不可欠です。
弊社ミューファでは取引時の書類を保管してありますので、紛失の際には問い合わせいただければ探すことが可能になっています。
②税理士に相談して「特例」や「控除」を検討する
たとえ取得費がわからなくても、譲渡所得税を軽減できるケースがあります。特に、以下の特例は要チェックです。
| 特例 | 内容 |
|---|---|
| 3,000万円特別控除 | 自宅(居住用財産)を売った場合、譲渡所得から3,000万円まで控除できる |
| 相続空き家の特例 | 相続で取得した空き家を一定の条件で売却した場合、3,000万円控除が受けられる |
| 長期譲渡所得の軽減税率 | 保有期間が10年を超える場合、税率が14.21%まで下がる場合あり |
取得費の資料がなくても、特例を上手に活用すれば、課税対象額を大きく下げることができるのです。
不動産を相続したり、売却の予定が出た段階で、「書類を整理して税理士に相談する」のは上策です。もちろん費用はかかりますが。
まとめ|「資料の保管」が家族の節税につながる
不動産の譲渡所得税は、売却益だけでなく「どんな資料を残しているか」によって金額が大きく変わります。
相続で受け継いだ土地ほど、取得費の証明が難しくなりがちです。
いま親世代が持っている契約書や領収書を整理し、次の世代へしっかり残しておくことが、将来の税負担を軽くするいちばんの備えです。
「もし将来売るときは、このバインダーを税理士に見せること」そんな一言が、家族を助けます。
弊社ミューファは千葉県野田市で不動産仲介、建築、設計、土地測量等を営む会社です。
不動産の売却を検討中でしたら野田市で不動産売却・査定をご覧いただき、お問合せいただけますと幸いです。
