不動産を売却するときには、契約や登記手続きに必要なさまざまな書類を準備する必要があります。
「登記識別情報って何?」「いつまでに何が必要?」といった不安を抱える方も少なくありません。
この記事では、不動産売却に必須の書類から、状況によって追加で求められるものまでを一覧で解説します。チェックリストとして活用し、余裕をもって準備を進めていただければと思います。
不動産売却であるといい書類一覧
📚パンフレット等 | 新築購入時の戸建やマンションのパンフレットがあれば、それも不動産屋の販売活動で使用する場合があります。 問題なければ買主に引き渡しても構いません。 |
---|---|
📖不動産購入時の重要事項説明書・売買契約書 | これらは無くても構いませんが、不動産屋が不動産を調査・査定する際の参考として使うこともあります。 |
📖建築確認済証 検査済証 建築計画概要書 | 新築時に交付された「建築確認済証」や「検査済証」があると安心です。特に買主が住宅ローンを利用する場合、金融機関から提示を求められたり、無い場合はローン審査に影響する場合もあります。エリアや時期によっては書類が無い事もありますし、紛失している場合でも売却は可能ですが、買主に説明が必要となるため、事前に確認しておくとスムーズです。 |
🔨インスペクション(建物状況調査) | 中古住宅を対象に、建築士が建物の劣化・不具合を調査した調査結果の書類。 昨今は買主が安心して買えるように、また購入後の不具合発見でトラブルを未然に防ぐためにインスペクションを実施する売主もいます。(不動産屋があっせんする場合も) |
📃既存住宅性能評価書 | 中古住宅の性能を第三者機関が評価した書類です。 こちらも買主が安心でき、住宅ローン減税や保険適用にも活用できます。 |
📃耐震基準適合証明書 | 1981年6月より前に新築した住宅が対象で、新耐震基準に適合しているかを証明する書類です。 建築士や指定確認検査機関が発行し、買主が買うときにメリットがあるものです。 |
契約時あるいはそれより前に買主に通知する書類
📃付帯設備表、物件状況確認書(告知書) | 土地/建物に関して売主からの説明書のこと。引越しのときに持っていく物を除いて、建物に付帯している設備(キッチン、お風呂、エアコン、トイレから網戸まで)現状の故障/動く/不明の状況をお伝えするものです。例えば給湯器が動くといって引き渡したのに動かなかった場合は修理を請求される場合がありますので、しっかり記入します。物件状況確認書は、建物について雨漏り、白アリ、傾きなどが発生してないかの状況を報告したり、過去に人が亡くなってないか、周辺に反社など危険な家が無いか、土壌が汚染されてないか、といった情報を記入します。不動産屋が書類を渡してくるので、そのタイミングで記入して契約時(前)に買主に通知します。 |
---|
不動産売却に必要な書類一覧【決済・登記のとき】
決済前に不動産屋から案内があるはずですが、ここが超重要です。
📝権利証 または 登記識別情報 | 不動産の所有者であることを証明する最も重要な書類です。昔は「権利証」と言いましたが、2005年以降に登記した物件には「登記識別情報通知」が発行されています。紛失している場合は司法書士に依頼して「本人確認情報制度」を使う必要があります。 |
---|---|
📝印鑑証明書・実印 | 決済・引き渡しの所有権移転登記の際に必要です。市区町村役場で発行され、有効期限は発行から3か月以内ですので、3か月以内の決済する日程が決まったら用意すればよいです。マイナカードがあればコンビニのマルチコピー機を使って、行政サービス→証明書交付サービスから取得することができます。料金は300円程度で自治体により異なります。 |
💴固定資産税・都市計画税納税通知書(評価証明書) | 固都税の確認や登記費用の算出に必要です。不動産の1月1日時点の所有者のもとに今年の納税通知書(払込票)が4~5月頃に送付されます。紛失した場合は市役所の資産税課で評価証明書を取得します。今年の引き渡し前までの分の税金を売主が支払い、引き渡し後の税金を買主が払うのが一般的ですので、決済のときに買主から売主に支払って清算します。今年の納税通知書が来ていない場合(今年の1~3月の決済の時など)は、前年度の固都税を使って折半する形になります。 |
💳本人確認書類(運転免許証など) | 契約手続きや登記の際に本人確認が必須です。運転免許証やマイナンバーカード、パスポートなど、顔写真付きのもの。 |
📄住民票(住所変更がある場合) | 登記上の住所と現住所が異なる場合には住民票が必要です。これにより所有者の同一性を確認できるため、事前に準備しておくと安心です。 |
📃抵当権抹消に必要な書類 | 売主の不動産に抵当権が付いている場合、抵当権抹消登記をします。銀行から「登記原因証明情報」(「解除証書 or 弁済証書」)「法人番号(法人登記簿)」「銀行の委任状」を売主または司法書士に渡してもらえます。 |
不動産売却で必要な書類【買主に引き渡し、引継ぎする書類】
売主から買主への引継ぎ資料があれば用意しておくことをお勧めします。例えば以下のようなものがあります。
📚自治会関連の資料 | 自治会への入会案内、会則、ゴミ出しルールなど。自治会加入は買主の自由ですが、地域によっては加入が半ば必須の場合もあるため、資料があれば渡しておくと安心です。 資料が無くても買主から市役所に問い合わせれば問題ありません。 |
---|---|
📃建築協定・緑地協定の規約 | 物件が所属するエリアで建築協定や緑地協定が結ばれている場合は、・建築協定規約書 ・緑地協定のルール・規約これらは法的に承継されるため、買主にとって重要な情報です。売主が保有している場合は必ず引き渡しましょう。 |
🧭確定測量の書類 | 隣地所有者の立ち合いと合意をした確定測量をしていてその書類があれば引き渡します。 買主も境界トラブルを防げるので安心です。 |
👍近隣との覚書・合意書 | ①境界に関する覚書:隣地所有者と「境界はここ」と合意した書面や立会確認書。②通行に関する覚書:私道を通行する権利、通行料の有無などを記したもの。③水路や排水に関する取り決め:共同利用している水路や排水路の管理に関する取り決め。覚書があれば必ず買主に引き継ぎ、将来的なトラブルを防ぐことが望ましいです。もし書類がなく口頭合意のみ場合は、売却前に書面化しておくのが理想です。(無いときは無いことを説明する必要があります。) |
📖管理規約、使用細則、理事会議事録、修繕履歴、修繕積立金・管理費の明細(マンションの場合) | マンションを売却する場合は、管理組合が発行する「管理規約」「使用細則」、過去の「修繕履歴」や「長期修繕計画」が重要になります。 買主が安心して購入できる判断材料となり、スムーズな契約につながります。区分所有法に基づき、管理組合のルールは引き継がれるため、最新の資料を用意しておくと親切です。 |
💡設備やライフライン関連の資料 | ・給湯器や設備の取扱説明書、保証書 ・上下水道やガスの使用に関する書類設備の操作方法や保証期間を示す資料は、買主の安心につながります。 |
不動産売却の状況によって追加で必要になる書類
不動産売却の前段階では状況に応じて求められる書類があります。ケースごとに整理しておきましょう。
👪相続関係の書類(相続で取得した不動産を売却する場合) | 相続した不動産を売却する場合は、相続人全員での合意を証明する「遺産分割協議書」や、被相続人の「戸籍謄本一式」が必要になります。 相続登記が済んでいないと売却できませんので、まずは司法書士に依頼して名義変更を完了させる必要があります。不動産屋では必要のない書類ですが、全員に売却意思があるかの確認は行います。 |
---|---|
📄離婚時の売却に必要な書類 | 離婚に伴う売却では、財産分与の取り決めを明記した登記原因証明情報(離婚協議書、財産分与契約書)が役立ちます。 事前に取り決めて書面に残しておくことが安心につながります。不動産売却時には直接は必要ありませんので不動産屋に提出するものではありません。不動産の名義が夫婦共有の場合は、誰が売主か、合意があるかを確認されます。 |
不動産売却で書類以外に必要なもの
不動産売却では書類だけでなく、実際の引渡しや契約に必要な「物」も事前に整理しておくことが大切です。以下のようなものは、売却準備の段階から揃えておくとスムーズです。
🔴認印 | 売買契約時の契約書に押印するのは「認印」で構いません。 |
---|---|
🔓家の鍵一式 | 買主への引渡し時には、玄関の鍵だけでなく、勝手口・窓・車庫・物置などすべての鍵をそろえて渡す必要があります。 合鍵も含めて整理しておくと安心です。 |
🖊️ライフラインの契約の解約 | 売却後のトラブルを避けるため、火災保険・電気・ガス・水道・インターネットなどの契約状況を整理・解約しておくとよいでしょう。 引渡し前に、停止や名義変更しておくことです。 |
不動産売却の書類準備でよくあるトラブルと解決法
不動産売却に必要な書類は多岐にわたるため、準備段階でトラブルになることも少なくありません。代表的なケースと解決策をまとめました。
権利証を紛失した場合の対応
権利証(登記済権利証)や登記識別情報を紛失してしまっても、不動産を売却することは可能です。
その場合は司法書士に依頼し、本人確認情報を作成して提出することで代替できます。通常よりも手続きや費用が増えるため、早めに相談しておくのがおすすめです。
固定資産税・都市計画税通知書がない
この場合は、市役所に行って「公課証明書」を取得すればOKです。不動産の評価額、課税標準額、税相当額が記載されていますので。
相続登記が済んでいない場合の注意点
相続で取得した不動産は、相続登記を行って相続人名義に変更しなければ売却できません。
登記が済んでいない状態では契約が進められないため、まずは司法書士に依頼して登記手続きを完了させる必要があります。
境界が不明確な土地の測量・隣地承諾の必要性
土地の境界があいまいな場合、買主から要望される場合があります。
この場合は測量を実施し、隣地所有者と境界確認書を取り交わすのが慣習になっています。費用は売主負担となるのが一般的ですが、結果的に売却価格が下がりにくくなるため、先に対応しておいた方がスムーズです。
一方で、確定測量をせずに引き渡す契約にする場合もあります。買主から求められない場合で契約書にうたえば測量せずで大丈夫です。
不動産売却書類チェックリスト

弊社にご興味がおありでしたら、ミューファの不動産売却をご覧ください。